手芸店や100円SHOPの羊毛比較(水フェルト)

先月リモートで水フェルトのワークショップを行ったのですが、
それをきっかけに調べてみたことを少しまとめてみました。



オンラインワークショップでは、
なるべくご自身で道具や素材を用意してもらうようにしています。

自分で好きなように選んで欲しいということや、
こちらで用意するとどうしても割高になってしまうこと、
そして自分で購入することで今後も続けてもらいやすいからという理由です。

基本的には羊毛専門の実店舗やオンラインショップ等をご紹介しますが、
実際に色味を見て選んだり気軽に手に入れやすいのは手芸店や100円SHOPだと思います。

どんな素材・道具を選んで頂いても対応できるようなワークショップを心がけていますが、
身近な場所で手に入る素材がどんなものか、しっかり理解しておかないと!
と思い、手芸店と100円SHOPで買った羊毛を比較してみました。


結論としては、縮絨率はほぼ変わらないのですが、
仕上がりや扱いに少し違いがあるように感じました。


 今回揃えた素材 

手芸店
・WOOL CANDY・フェルト羊毛(ハマナカ)
・ウールパレット(元廣)
・フェルトつくり(ユザワヤ)
100円SHOP
・羊毛フェルト(ダイソー)


 試した方法 

・羊毛の触感・引っ張ったときの感覚など
・しっかりフェルト化させる
・同じような状況でフェルト化させる

 触り心地や扱いやすさなど 




‖ WOOL CANDY・フェルト羊毛(ハマナカ)

触った感じは柔らかく滑らか。でもメリノほどの柔らかさはなく、丁度良いハリもあるといった触感でした。洗いや染色の状況も良いのか、ガサつきも少ない。
ロール状になっているのですが、綺麗に剥がすとスライバー状(細長い形)に。引っ張るとするりと抜けやすく、少量でも取りやすい。
端もハサミ等でカットされておらず、とにかく扱いやすく、フェルトなどに使う用に適した状態になっている印象でした。
ナイロン入りのウールキャンディーも同上。



‖ ウールパレット(元廣)

カットされたままの状態

カットされた部分を取り除いた状態
小分けで4色入っているので、色々な色を使いたい時に便利そうだなと思います。
素材感はハマナカよりは若干かさつきがあるけど、そこまで硬くはない触感。引っ張った感じは比較的抜けやすいため扱いやすい方だと思います。
ただ、端がハサミでカットされているため、小分けの量が少ない分、そのあたりが少しネックになりそう。
(その理由は下記に記載)



‖ フェルトつくり(ユザワヤ)

カットされたままの状態

カットされた部分を取り除いた状態
こちらはとにかく他の素材よりも大容量なので、大物を作るときに良さそう。
触感は硬いというわけではないけど、恐らく今回使った中では一番硬さがありそうです(とはいえそこまで気になるものではないですが)。洗いが強いのか若干ですが摩擦抵抗が強めな印象。
引っ張り感はハマナカよりも扱いにくいかなとは思うので、繊細な物作りよりは大物に良さそうという感覚でした。
こちらも端がハサミでカットされているのですが、量が多いので他のものよりは影響が少ないと思います。



‖ 羊毛フェルト(ダイソー)

カットされたままの状態

カットされた部分を取り除いた状態
他の商品と比べると100円なのにこれだけ入ってるのはすごいなと思いました。色は限定されますが、手軽に買えて手軽に作ることができるのは便利。
触感は、ユザワヤの羊毛に近く、今回の中では若干硬め。第一印象はふわっとしていたので引っ張りやすうく扱いやすいのかと思ったのですが、洗いが強いのか繊細に引き出すのは少し意識する必要があるなという印象でした。
また、ハサミでカットされている部分が大きく(他の素材の2倍くらい)、その辺りも作品作りに影響が出るかなという感じでした。



 縮絨について 

しっかりフェルト化したものと、同じような状況(分量や刺激を与える時間を統一)でフェルト化したものを試してみました。

しっかりフェルト化したもの
(左上から右下に ハマナカ・元廣・ユザワヤ・ダイソー)

同じような状況でフェルト化したもの
※若干アバウトめです。全部単色にしなかったことを反省。


縮絨率や縮絨の速さにはあまり大きな差はなかったです。
ウールパレットが一番小さく縮むかなというくらいでした。

ただ、上記に書いた“引っ張りやすさ“や“カットされているか否か”によって仕上がりに大きく差が出たなという印象です。

綺麗なフェルト化を意識するのであれば、繊維の置き方が均一であることがとても重要だと思います。
私はフェルトのプロではなく雑な性格のため、結構ざくざくと引っ張って繊維を重ねていたのですが、それでもハマナカは綺麗な仕上がりになりました。

引っ張っている時に感じたのは、ハマナカは雑に引っ張っても比較的均一に繊維を取り出しやすかったです。


端をハサミでカットされているものについても、カットされているところを引っ張ろうとすると、どうしても厚みに差が出てしまいます。
また、それを配置したときにどうしても均一な状態になりにくいです。


フェルト作りに慣れていない方が綺麗なフェルト化を目指すとしたら、いかに滑らかに引っ張れるかを念頭に置いて素材を選ぶことが良いのではないかなと思いました。

ハマナカはハサミでカットされた状態でもなく、さらにとても状態の良い素材なので、私のように雑だったり少し不器用だとしても綺麗に仕上がるのではないかなと思います。

やっぱり質の良い物作りには“素材“が大事だなと常々思います。

 結論 

フェルト初心者さんはハマナカがおすすめ

個人的な感覚ですが、基本的にはどれも水フェルトに使用できるため、どれを使っても問題ないとは思います。

ただ、購入した素材を使って思ったのは、圧倒的にハマナカの羊毛の仕上がりが良い!

理由としては、おそらく引っ張りやすさが関係しているのだと思います。
少量を薄く引っ張り出そうとした時に、他の羊毛だと毛同士の摩擦によって、ごそっと分厚い部分も出てしまうのですが、ハマナカは少量でも均等に引っ張ることができました。

手が慣れてくればどの素材でも綺麗に引き出すことができると思うのですが、初めての方は特にハマナカを使用した方が上手くいきやすいのではないかなと思います。


あとは糸紡ぎ作家としては、ハサミでカットしないで〜〜〜という気持ち(;;)

販売する側としては、きっちり量を測るためや手間の問題でハサミでカットした方が良いと思いますし、だからこそ安くできるのだと思うのですが、
扱う側としてはハサミでカットするとどうしても半端な長さの毛ができて仕上がりが悪くなってしまうため、カットされた部分をよけるしかありません。。

ニードルフェルトなら問題ないのかなと思いますが、紡ぎや水フェルトで仕上がりを良くしたいのであれば、あらかじめ端はちぎって使った方が良いかもしれません。



とはいえ、ハマナカ以外の素材も全く問題ないと思います。
色の好みもありますし、値段の安さが魅力的だったりもします。
綺麗に仕上げたい場合は、作るときに繊維を均等に重ねることに注意すれば良いだけなので、自分の好きな素材を選べば良いのかなと思いました!

羊毛が手軽に手に入る時代。すごいなあ。


という感じで、
自分や生徒さん用にフェルトの使用感をまとめましたが、
また紡ぎの使用感もまとめようと思います!

そんなに差は無いだろうな〜。


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REIKOMONO
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